宛先は天国ですか？



わたしの言葉に、聖也は不服そうに頬を膨らませた。

酷いなぁと、わたしを責めるみたいに。

その視線から目をそらすと、聖也は「冗談だよ」と言ってまた笑った。

おかしそうにケラケラと笑う聖也に、今度はわたしが頬を膨らました。


それから、ふと少し真剣な顔付きになって、わたしの頭を軽く小突いた。

「どうせ、考え事してたから俺のこと忘れてただけだろ？」

まったく、と呆れ顔でそう言った聖也に、わたしは軽く目を見開いた。

見透かされていることに驚いて、でもそんな気がしてたから驚きも小さかった。


わたしの反応に、聖也はやっぱりなと納得してニカッと笑った。

「いやー、それで、俺を忘れるほどの悩み事とはなんなの？」

興味津々な様子で、わたしの顔をちらっと覗き込むようにして問うてくる。

「聖也には関係ないでしょ」

ふいっとそっぽを向くと、聖也はまあそうなんだけど、と軽くため息をついた。

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