宛先は天国ですか?



聖也に名前を呼ばれて、早野先生は向こうからパタパタとかけてきた。

「田辺くん、どうかしたの?」

コテンと首を傾げて、それからわたしの存在に気付く。

早野先生は少し驚いた様子ではあったが、気にしないように目をそらした。


「あー、えっと、早野先生に相談したいことがあって、生徒相談室とかで話せませんか…?」

お願いします!と両手を合わせて頼み込む聖也に、早野先生は少し困った顔をした。

「うーん、多分大丈夫だと思うんだけどなぁ…」

ちょっと待っててねと言い残し、早野先生は職員室の奥の方へと消えていく。


それから鍵のおいてあるところに寄り鍵を持ってきた早野先生が、

「許可もらえたから、相談室に行こうか」

と聖也に笑いかけた。


…早野先生に相談することが用事なら、わたしは別に必要なかったんじゃないの?

そう思い手を振りほどこうとしたけれど、相変わらずギュッと掴まれたままだ。

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