宛先は天国ですか?



メールの着信音に、なんとなく届いたメールを開いてみると、それは将太さんからだった。

忙しいはずの将太さんからのメールに、わたしは慌てて文を読む。


『4日に休みが取れたのですが、少し遅いですが初詣に行きませんか?』

…初詣。


その言葉に、わたしは慌ててリビングの方に向かい、祖母を訪ねた。

祖母は洗い物をしていて、わたしが来るなり「あらあら」なんて言って笑っている。


「…あのさ、おばあちゃん。今年は初詣、わたしだけ別で行ってもいいかな…?」

恐る恐る尋ねると、祖母は不思議そうに首を傾げた。


それもそのはず。

いくら友達に誘われようとも、夜に友達と初詣に行くのは危ないからと頑なに断ってきた。

祖父母と暮らし始めてから今年まで、初詣で祖父母とともに3人で行っていたのだから。


「…別って、別の日に誰かと行くの?」

「あー、うん、4日の日に、誘われたから」

だめかな?と首を傾げてみると、祖母は「そうねぇ」と困った顔をした。

これは、祖父が許してくれない感じかもしれない。

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