宛先は天国ですか?
封筒には漢字ばかりだったから、中身を取り出して手紙を読んだ。
1番上には、『暖々へ』。
1番下には、『天国のお母さんより』と書かれていて、わたしは思わず飛び上がった。
「おばあちゃん、お母さんからお返事きたよ!!」
興奮気味に話すわたしに、祖母はニコリと笑いながら「そうだねぇ」と何度も言っていた。
『暖々へ
おてがみありがとう。
お母さんもお父さんも、天国でなかよくやってます。
暖々におもだちがたくさんできて、お母さんたちはとてもうれしいです。
これからもそのおともだちをたいせつにして、おばあちゃんやおじいちゃんとなかよくね。
またおてがみまってます。
天国のお母さんより』
子供が読みやすいように平仮名ばかりの文章。
とても短かったけれど、わたしにとってはすごくすごく嬉しいものだった。
飛び跳ねて喜んだ。
それからわたしは、事あるごとに天国の両親に向けて手紙を書いた。
いわばそれが習慣みたいになっていた。