宛先は天国ですか?



もう少しということは、1、2本向こうのほうが早い電車に乗っているのだろう。

それくらいなら一緒に登校すればいいと思うかもしれないが、1本でもだいぶ変わる。

しかも環奈ちゃんは違う電車に乗り換えるから余計に変わってくる。

しかも相手が朝練がある日とほぼ一緒ということは、テスト週間などの朝練がない日は全く電車が被らないということ。

しかも被っている駅は随分前に聞いた話では4駅程度らしい。

それでも、会える可能性だってないわけではないのだから羨ましい。


…わたしなんて、相手がどこに住んでいるかすら分からないのだから。

多分わたしの家の近く、それも、それならいいなくらいで。

連絡先を交換し忘れたものだから、知っているのは容姿と名前、それからわたしに手紙の返事を書いてくれていた人、それくらい。


「まあ、彼氏いるだけでもいいじゃん、幸せそうで」

微笑ましそうに笑う璃子。

そういうときの璃子って、なんかお姉ちゃんって感じがする。

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