宛先は天国ですか?
こんなゆるい雰囲気で家庭科の授業が始まる。
6時間目というのもありとても眠いが、寝てしまったら注意されてしまう。
いや、そっとしといてくれるかもしれないけど、起きれるなら起きておきたい。
…早野先生ってば、雰囲気はふわふわとしているくせに、テストだけは一丁前に難しいんだから。
普通科目の中では1番か2番くらいに難しく、勉強しないと赤点ギリギリだ。
先生にバレないよう小さくあくびをしてから、授業はしっかりと受けた。
やっぱり、早野先生は癒しだ。
話もタメになったり面白いものが多くて、いつの間にか授業が終わってしまっていた。
そういえば、帰りに寄り道していくんだっけな。
掃除をして、帰る準備をして、いつも通りの放課後。
「おー、佐川、早く行こう」
違うのは、聖也の台詞が“帰ろう”が“早く行こう”であったことくらいだ。
「急がなくても、電車に間に合うでしょう」
クスッと笑みをこぼすと、「それもそうだな」と言ってへへっと照れ笑いをした。