宛先は天国ですか?



一つ二つと空いている席を見つけ、その中でも快適そうな方を選んでいく。

やはり、窓際か壁際が1番いいのかもしれない。

うるさい人のいないところを選んで、座っていようか荷物だけ置いていこうか悩んでいると、

「お、いい席空いてるじゃん」

後ろの方から人の声が聞こえてきて、わたしは迷わずその席に腰を下ろした。


声のした方を見ると、誰か違う人かと思いきや聖也で、慌てて座る必要はなかったかな。


ドーナツと飲み物ののったお盆を持った聖也が歩いてくる。

「というか、お金、よかったのに」

息をつきながら席についた聖也が、ははっと軽く笑う。


わたしはドーナツと飲み物を受け取りながら、なぜと首を傾げる。

「さすがに、奢ってもらうわけにはいかないし」


いつぶりかになるドーナツにかぶりつく。

ドーナツも甘いけれど、やっぱりココアとの組み合わせは最高。

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