宛先は天国ですか?
いつになっても、将太さんの横に並んで歩くのはドキドキとする。
なかなか慣れなくて緊張ばかりで、うまく言葉が出てこない。
「…そういえば、確か暖々さんって看護科の高校に通ってるんですよね」
確認するように問いかけてくる将太さんに、わたしは小さく頷いた。
…そっか、入試に合格した時とか、入学式の翌日に出した手紙に書いたんだっけ。
そのことを思い出し、何を聞かれるのだろうと将太さんの方を向く。
「学校は大変ですか?」
将太さんはふわりと笑みを浮かべながら、何気ないそんな質問をしてきた。
「まあ、大変ですけど、自分で入りたいと決めた高校ですし、みんないい人ばかりだし、楽しいですよ」
わたしがそう言うと、将太さんはそうですかと言ってニコリと微笑む。
いちいち、こうして話にきりがつくと会話がなくなってしまう。
何か話さないとダメだと分かっているんだけど、何の話題も思いつかない。