宛先は天国ですか?
将太さんはそっかと理解してくれたらしく、また前を向いて歩き始めた。
それについていって、文房具のコーナーでまた横に並ぶ。
「…授業で使うんですか?」
目を細めて笑いながら尋ねてくる将太さんに、わたしは首を横に振った。
「勉強用です、メモ帳は授業で使いますが」
いくつか並ぶオレンジのペンを眺めながら、わたしはそう答えた。
それに対して、将太さんは「熱心ですね」と微笑む。
「メモ帳はどんな授業で使うんですか?」
普通科目ではなかなか使わないですよね、と将太さんはサラッと図星をついてくる。
確かに、小さなメモ帳なんて普通科目ではなかなか使わない。
いや、わたしの学校では使わないだけなのかもしれないけれど。
…ああでももしかしたら、図星をついてきたわけじゃなくて、会話を続けるためにわざと聞いてきたのかな。
それだと、少なくともわたしとの会話を長く引き延ばそうとしてくれてるってことになるよね。
…そういう意味で、とらえてもいいのかな。