光の向こう側へ
しばらくすると
近くのラブホにいた。





『別にやらしい意味
ちゃうけど
俺ん家親おるし
他に行く当てないから…』






ァタシは抵抗はない。




一人にならなくて済むなら
いくらでもヤらせてあげる。







『そんで家帰りたくないって…
なんかあったん?

さっきの万引きにしても…

俺で良かったら言うてみ?』





ァタシは鼻で笑った。




『なんでァタシの事
何にも知らない
相手に話さなきゃ
いけないのよ?』




すると男は
真面目な顔をして言った。






『確かに俺はおまえの
名前すら知らん。
やけどおまえだって
俺の事知らんやろ?

変に自分を知ってる相手より
何も知らん相手の方が
話しやすくないか?』






−−言われてみると確かにそうだ。





例えばユリに…クラスの子に
ァタシは風俗嬢だと
言ったらどんな反応が
返ってくるだろう?





だけど今目の前にいる
この男なら…




ァタシがどんな
存在だろうが
明日でさよならだ。






ァタシはゆっくり話始めた。





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