光の向こう側へ
産まれてから
一度も誰にも
怒られたことなんて
なかった。



ァタシに感心を
持つ人なんて
いなかった。




『アキラ…ごめんね…』





『なんで謝るねん。
俺に何もしてないやんけ。』



『でも…』




『じゃぁ…
俺と約束してや。
もう2度と
死にたいなんて
言わへんて。

もし死にたくなっても
【あとちょっとだけ】
って自分に言い聞かせて。

絶対将来
【生きててよかった】て
思えるから。

俺音楽やってるときが
一番自分が
輝いてると思う。

やからリカも
自分が輝けること
何か見つけて。

例えばリカは
笑ろてる時が
一番ええ顔
してるで』




そう言い終えた
アキラにァタシは
言った。




『…サツキ』


『ん?』



『ァタシの
本間の名前、
サツキて言うねん!
リカは仕事の時
客に教えてた
偽名…』




アキラは
優しく笑った。




『サツキ…』




アキラはァタシの
名前を呼んで


どちらからともなく
キスをした。



二人は体の
関係をもった。




嬢になって以来
初めてホントの名前で
セックスをした。




出会って間もない二人

きっと二度と会うことのない二人




だけどきっと
この瞬間だけは
お互いに
愛し合ってた。




愛のあるセックスは
こんなにも
幸せに
なれるんだね。




アキラ…


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