肉食系御曹司の餌食になりました

真っ白なケースを開けて、婚約指輪を見せてくれる智恵。

プラチナリングに輝くダイヤが、眩しいよ。

「つけないの?」と聞くと、「会社ではやめとく。ニヤニヤしちゃって仕事にならないから」と答えた智恵は、頬がピンクに染まって可愛らしい。


「おめでとう。よかったね。式はいつ頃?」

「来年の夏か秋かな。ゆっくり式場選びしたいし。でも入籍は今年中に済ませて、一緒に住もうって言ってるんだ」


智恵がとても幸せそうで、私も幸せのお裾分けをもらった気分になる。

最近は心がモヤモヤして苦しかったから、こういう話は明るい気持ちになれてありがたい。

その感謝も込めて「よーし、今日はお祝いしよう! 奢ってあげるよ。どこの店がいい?」と智恵を誘った。

今日は彼との約束がないということで、智恵も喜んで誘いに応じる。

どこにしようかとスマホを取り出して検索し、前に一度ふたりで行ったことのある、すすきののイタリア料理店か、創作和食の二軒に絞った。


「和食の方は、クーポン付きか。
うーん、どうしよう」

「クーポンを気にしないで、智恵の好きな方を選んで。お祝いなんだから」

「じゃあ……イタリアンのブラカリ・ロッソにしようかな」


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