肉食系御曹司の餌食になりました
「ねぇ遼くん、人生四枚目の名刺、もらっちゃった!」とはしゃぐ女性は、鈴木夢さん。
年齢は二十歳で、ファミレスでアルバイトをしているという。
彼女の言葉に「四枚? 俺なんかもう二十枚持ってるし。社会人だし」と自慢する彼は、山田遼さん。
年齢は二十一歳で、工務店勤務だと言う。
ちなみに入籍は、この企画に参加した後の予定らしい。
ふたりとも、とてもラフな今時の若者ふうスタイルで、その容貌や年齢から、企画への参加意思を再度確認したくなってしまった。
ストレートに言うと『本当に結婚するの? ふたりで将来について真面目に話し合った? 途中でやっぱりやーめたと言わないよね?』ということなのだが、さすがにそんな失礼はできないので、言葉を選ぶ。
「おふたりは、いつ頃ご結婚を意識されたんですか?」
すると彼女の方が「九月十八日の、私の誕生日です!」と、張り切って答えてくれて、その後に口を尖らせた。
「誕生日だから遼くんが居酒屋で奢ってくれて、プロポーズしてくれたんですけど、次の日の朝、酔ってて覚えてないって言うんですよ。
私、すっごく嬉しかったのに、ひどくないですか?」