肉食系御曹司の餌食になりました
スウィートルームのレースのカーテン越しに夜景が見える。
メガネを外しているせいで、光が四重、五重にも重なり、展望ラウンジで見た景色よりも幻想的に美しく感じた。
激しい二度の交わりは先ほどようやく終わりを迎え、喘ぎ疲れた私はクイーンサイズのベッドで彼の腕の中にいる。
「今何時ですか?」と問いかけると、彼は上半身を起こして窓を見た。
「〇時十二分です」
サイドテーブルの時計ではなく外を見たということは、大通公園にそびえるテレビ塔の電光表示を確認したのだろう。
「そろそろ寝ましょうか?」と聞かれたが、首を横に振る。
体は疲れて眠りを求めていても、この時間を終わらせるのがもったいない。
それに目覚めたら自宅のベッドで、全てが夢だったというオチだったりして……と、非現実的な想像をしていた。
あまりも素敵な体験だったので、そう思うのだろう。
そんな私に対し、彼はどう感じたのかと、ふと疑問が湧く。
いちいち彼の評価を気にしてしまうのは、やはり自分に自信がないせいなのか……。
夢のような幸せを与えられ、逆に不安になる私。
大きな手の平が宥めるように頭を撫でてくれて、優しい瞳で見下ろされた。
「眠るのが惜しいと思うのなら、心配いりません。またすぐにふたりの時間を作ります。
あなたは想像以上の美味しさで、私の方が食欲を抑えられませんから」