肉食系御曹司の餌食になりました

口には出さずに、じっと見上げていると、困ったような顔をされた。


「そんな顔をしないで下さい」と言われたが、特別に感情を出しているつもりがなかったので、自分の顔に触れて確認してみる。

するとクスリと笑われて、その瞳が急に欲情を取り戻すのに気づいた。


「こんなに近くにいるのに、寂しそうにされては困ります。どれだけ近づけば、あなたは安心してくれますか?」


言いながら彼はサイドテーブルに腕を伸ばして、避妊具のパッケージを手に取った。

羽布団を勢いよく剥がされ、裸の私の上に素早く跨った彼は、銀色のパッケージを歯で破いている。

思わずその股間に目を遣ると、元気を取り戻している立派なモノが……。

二度激しく交わったばかりなのに、すごい回復力。

三度目は前戯なしで入ってきて、それもまた刺激的でたちまち快感の波に襲われた。

これでは確かに彼の将来を案じる余裕も、いつか訪れる別れを寂しがる余裕もない。

同じリズムを刻みながら、唇を合わせる私達。

夢の世界に揺られながら、抱き合える喜びと幸せに、どっぷりと浸るだけだった……。


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