肉食系御曹司の餌食になりました
予定を変更して私も迎えに行くということなら、前もって教えてくれないと困る。
現場に私も支社長もいないとなると、智恵達も困ることに……ならないか。準備はほぼ終わっているようなものだから、そこは問題なかった。
安全運転で車はゆっくりと雪道を走り、二十分ほどかけてブライダルハウス・ロマンジュに到着した。
差し出された支社長の手に掴まり、車を降りる。
藤田さんは車で待機しているようで、私達だけがガラスの扉を開けた。
代役のふたりはどんな人達なのだろう?と気になった。
名前も年齢も聞かされていないからイメージが膨らまない。
支社長の知り合いということなので、まともな人達なのだろうと、そこは安心しているけれど。
ドアベルが鳴るとすぐに花村さんと、他にふたりの女性店員が出迎えてくれた。
「お疲れ様です」と挨拶して、代役のふたりはどこだろうと店内を見回す。
すると花村さんに「こっちです」と腕を引っ張られる。
「急ぎましょう。準備時間が一時間もないです。平良さんのサイズにウェディングドレスを合わせておいたので、多分、調整はいらないと思うんですけど……着てみないと分からないですよね」