肉食系御曹司の餌食になりました

「色んな女を抱いたけど、お前が一番気持ちよかった。よりを戻すのが嫌なら、おれがヤリたいときにヤラせろよ。あいつにバラされたくないんだろ?」


卑怯者……。

これはお酒のせいだと思いたい。

私の知っているカイトは、こんな最低な男じゃなかった。

そう、全てお酒が言わせていることで、酔いが覚めればきっと謝ってくるだろう。

しかし例えそうだとしても、今、窮地に立たされている状況に変わりはなく……。


睨むだけでなにも言えない私を、カイトはまた鼻で笑い、キスしてきた。

唇を引き結び、中への侵入を拒んでいると、唇を離した彼に舌打ちされる。

逃げないとと思い、身を屈めて脇をすり抜けようとしたら、右腕を捕られて背中で捻られ、壁に正面から押し付けられた。


「カイト、やめてよ」

「逃げないなら、やめてやる」

「逃げない」

「アンは嘘つきだよな。俺に惚れてるって言ってたくせに、勝手に終わらせやがって……」


壁に頬と胸を押し付けられた姿勢で、カイトの左手がスカートを捲り上げようとしているのを感じていた。

焦り中、一メートルほど横にあるドアを見ながら、なんとか脱出できないかと考える。

右腕は背中に回されて押さえられていても、左手は動かせるから、ドアノブに手が届けば開けられる。

ジリジリと横にずれる私。

もう少し、後三十センチ……。

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