サヨナラの行方



それを見て、この人がモテる理由が分かった。

入った当初から、彼の下につくことを羨ましがられた。

最初は全然理由が分からなかった。

外見は、目を引く感じじゃない。

声がいい訳でもない。

ただ優しいだけなのに、と思っていた。


だけど、自然に何でもこなす彼を見たら、私も例外なく、騒ぐ側となってしまった。

本気で、彼を好きになってしまった。


所詮上司の上、ライバルは多い。

私なんか相手にされることはないと分かっていた。

それでも、1番身近にいるせいで気持ちがなくなることはない。

表に出さないように必死だったけど、いつ表に出るか分からないほどだった。


そんな時だった。



「澤村さんって、俺のこと好きだよね?付き合う?」


「……は?」




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