サヨナラの行方



なんとか抑えようとするけど、男の力に敵うはずがない。

彼の手は、私のお腹を這って胸の方までくる。

敵うはずがないけど、それでも彼の手を止めようとする。

その合間にも、キスは止まらない。

この人は一体、何を考えているのだろう。

面白がっているだけなのか。

私には何も分からない。

ただ分かるのは、この人は私のことを本気で好きじゃないってことだけ。


こんなことを思っている間も、手や口は止まらない。

だんだん思考も停止してくる。



「もう、降参?」



力が抜けてずるずる座り込んだ私を見て、彼は楽しそうに言う。


そんなことより、酸素が欲しい。

そう思って、息を吸ったり吐いたりしていた。

その姿さえも、楽しそうに目の前で見ている。

本当に、なんなんだこの人は。




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