サヨナラの行方



それでも、抱き締められている今、ドキドキするのは止められない。

それも、あり得ない速さで。

これだけ密着しているのだから、おそらく彼にも聞こえている。

好きの気持ちに嘘はつけない。



「んっ」


「体は正直だね。俺を好きだって、全身で訴えている」



キスをして、笑いながらそんなことを言われる。

やっぱり、バレてる。


仕方がない。

いくら断ったって、好きに違いはないのだから。



「そういう訳で、付き合おう。ただ、秘密にしてよ。友達にも言うな」



意地の悪い顔をしながら言う。

何のためにとか、どうして私なのか、よく分からないまま、彼の言う通りにするしかなかった。




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