サヨナラの行方
嫌いな訳じゃない。
イヤ、不倫になった時も、あの子を使ってバラされた時も、嫌いになることはなかった。
ずっと、ずっと……好きだった。
だけど、そんなこと言えるはずがない。
言ってしまえば、全てを打ち明けなければいけなくなる。
そんなことしたら、嫌われてしまうのは私だ。
確実に逃げられてしまう。
だから、課長の言葉を否定することも出来なかった。
「嫌われても仕方のないことをしている。でも、言い訳だけさせて?」
私が何も言わないでいると、課長は先に話しを進めた。
「不倫の暴露は、俺が仕組んだことじゃない」
「……え?」
正直、この人は何を言っているのかと思った。
あの時の状況を見れば、誰が見ても課長が仕組んだと言うはず。