サヨナラの行方
あの時、常務の娘が何を言っても一切口を挟まなかった。
辞めることになっても、止めることもしなかった。
まるで、それが当たり前のように。
私が一方的に悪く言われ、助け船も出さなかったくせに、今頃何を言うのだろう。
「あの時、自分を守ってしまったから何も口を挟まなかった。相手に知られたこと事態、想定外のことだった」
そうは言われても、簡単に信じることは出来ない。
あのせいで、誰のことも信用出来なくなった。
だから、あのあとのことも、生きていることさえも紗希ちゃんに言えなかった。
「一つ言うなら、あの状況を前もって知っていたら、あんなとこでバラすことはしない。俺の立場だって危うくなる」
「あ……それもそうか」