サヨナラの行方
「そんなにですか?」
「実はさ、池田の父親って会社を経営している代表なんだって」
「は?代表?」
混乱している中で、課長はある会社名を口にする。
それは、誰もが知っている有名な会社だ。
「その父親に悠月の件を話したらしい。それで、この会社はおかしいって話しになったって。で、ここを辞めて自分のとこへ戻るらしいよ。簡単に言えば、そんな感じ」
「紗希ちゃんって、令嬢だったんだ……」
話しを聞いたあと、そんな言葉が出た。
全然そんな風には見えなかった。
そんな雰囲気だってなかった。
私らとなんら変わらない、一般人だった。
「まぁ、詳しいことは池田に直接聞けばいいと思う。
だから、とりあえず1度、俺と帰らない?」