サヨナラの行方



「え?帰る?どこへ?」



首を傾げながら聞く。

私の帰る場所は、地元で住んでいるここしかない。



「悠月は嫌かもしれないけど、あの会社に。もちろん、会社に仕事をするために戻るんじゃないよ。アイツらに見せつけるために。
結局、悠月を利用しているのかもしれないけど……」


「見せつけるって、何をですか?」



再会してまだ、そんなに時間は経っていない。

話しだって、そんなに多くはない。

だけど、分かる。

課長が変わった。

たまに読めないことを言うけど、言うことが変わった。

私が去ったあと、何かあったのだろうか。

紗希ちゃんに怒られたみたいだけど、その時に何か言われたのだろうか。


私はあの時、紗希ちゃんに詳しく話すことはなかった。

だから、紗希ちゃんが私の気持ちを知ることはない。




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