サヨナラの行方
「悠月」
電話を切って15分後、急に近くで呼ばれた。
柱の影に隠れるように待っていた、私のすぐ後ろから小声で呼ばれたのだ。
「え?和樹?何で?」
てっきり、まこちゃんが来ると思っていたから驚いた。
「真琴と一緒にいたから、俺が行くって言った。はい、荷物」
「あ、ありがとう……」
キャリーバッグを受け取りながら、ドキドキしている。
まこちゃんと一緒にいたということは、全てを聞いていたはず。
そして、わざわざここへ来たということは、何か物申すつもりか。
イヤ、和樹のことだから言いに来たのだろう。
そうじゃなければ、わざわざ和樹が来るはずがない。
「悠月。俺は、あの人に全て話して帰るべきだと思う」