サヨナラの行方
こういう状況になって初めて気づく。
私はまだ、諦めきれていないということに。
だけど、ここまでのことされていても、課長に気持ちはない。
離婚を望んでいるみたいだけど、そのあとは別の誰かと結婚するだろう。
私の気持ちを伝えたところで、玉砕することが目に見えている。
ましてや、去ったあとは勝手なことをしている。
そのことを許してはくれないはず。
こう考えて、結局最初に戻ってしまう。
ぐるぐる回ってしまう。
1人で考えていても、同じことしか考えない。
それでは意味がない。
もう少し、様子を見よう。
そう思い、課長の元へ戻った。
「戻りました」
そう声をかけるなり、ちょっと不思議そうな顔をした。
視線は、私の手元の方を見ている。