サヨナラの行方
……なんて、呑気なことを思っている場合じゃない。
課長の表情は、どんどん曇っている。
声を荒げることはないけど、あきらかにトーンも低くなっている。
ため息とかもついている。
それから、少し話して紗希ちゃんとの電話を切った。
そして、私の方を見た。
何を言われるのかと思ったけど、すぐに目をそらして電話をかける。
次は、かしこまった話し方だった。
目上の人か。
その電話で、ようやく状況が分かった。
電話の相手は常務で、娘が会社に押し掛けて騒いでいるらしい。
仕事に支障が出てるから、紗希ちゃんが課長に助けを求めたのだろう。
……こんな時だけど、紗希ちゃんって課長の連絡先知っているんだ。
私は、不倫の時でも知らなかった。