サヨナラの行方



どうしてかなんて、正直自分のためだ。

大きくなっていった想いに、嘘はつけなくなっているだけ。



「会社が大変みたいですし。課長が言う見せつけるには、絶好の機会かと」



課長の言う、見せつけるの意味は正確には分からない。

だけど、私が生きていることに意味があるのかもしれない。

何より、一緒に行くことでこんな私でも課長の役に立てるんだ。

そう思ったらもう、帰るしかなかった。



「じゃあ、帰ろうか」



その言葉に深く頷いて、部屋を片付けた。

その間に、隙を見てまこちゃんには連絡した。

そしたら、「頑張れ」の一言とみんなの写真が送られてきた。

そう、私は1人じゃない。

心配してくれる人たちもいる。

守るべきものがある。

一緒に帰ってどうなるかは分からないけど、動いてみよう。

動いてみれば、何か変わるから。




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