サヨナラの行方
13th*行き場のないサヨナラ
会社までの道中、課長は一言も話さなかった。
何を考えているのかは分からない。
どこかへ電話をかけることもなかった。
私は私で、不安で仕方なかった。
つい、一緒に帰ると言ったけど、不安がない訳でない。
頭の中では、「どうしよう」とか「なんて言えばいいのか」とか、そんなことがぐるぐる回っていた。
会社の前に立った時、緊張はピークだった。
「大丈夫か?」
緊張が課長にも伝わったらしい。
心配そうに聞いてくる。
「大丈夫です……」
あまり大丈夫ではないけど、ここまで来といて逃げる訳にはいかない。
足も手も震えているけど、行かない訳にはいかない。