サヨナラの行方



一つ、大きく息を吐いて、課長について会社へ入る。

実に、約1年ぶりのことだった。



「あ、和泉課長」



受付嬢が課長に気づき、声をかける。

そのとたん、ビクッと私の体は震える。



「すみません、入ってくるのを止められなくて……」


「イヤ、仕方ないよ。それだけあの女が暴走しているってことだから」



部署が違うどころか、ただの会社の受付嬢たちまで状況を知っている。

相当、あの子は暴れ回っているらしい。

受付嬢がちらっと私を見たけど、首を傾げながらまた課長を見る。



「今日も来てる?」


「はい。昼過ぎから、ずっとおられます」


「昼過ぎからずっと?本当に邪魔しているな」




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