サヨナラの行方



「別にいいわよ。今更本人が知ることではないし」



何だ。

いくら強気で言っていても、本人が聞いていないから言うのか。

でも、あの暴露の時から表情は本気を語っていた気もするけど。



「本人が知ることないねぇ……」



そう言いながら、課長は私を見る。

なるほど、バラし時か。


目で訴えると、課長は静かに頷く。

私はそれを合図に、ゆっくりとウィッグを外す。

そのとたん、周りが何事かと注目しているのが分かる。

少しざわつき始めた。

そんな中で、サングラスまで外した。



「……えっ………………⁉」



みんなが同時に驚いた。

イヤ、声を失った。

そして、幽霊でも見ているのかというほど目を見開いている。




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