サヨナラの行方
ペコリとお辞儀をしても、誰1人微動だにしない。
彼女に至っては、表情が崩れている。
目一杯目を見開いて、口もあんぐりと開いている。
女性がそんな顔をしていいのか。
元々見た目だけで、ふとした表情とか話し方とかはお嬢様ではなかったけど。
まぁ、お嬢様だろうが、結局同じ人間だもんな。
「え、ちょっと、何で……。悠月⁉」
1番最初に声を発したのは、紗希ちゃんだった。
「……お久しぶりです」
「ちょっと、久しぶりじゃないよっ。何でっ、生きているじゃないっ」
私に近寄ってきて、両腕を掴んでブンブン揺する。
「さ、紗希ちゃん、痛いよ」
「あ、ごめん。って、そうじゃなくて、死んだんじゃないの?」