サヨナラの行方



「生きてますね……」


「何で死んでいるなんて話しになっているの?」


「えっと……」



まぁ、それを聞かれるよな。

だけど、みんなが聞いているこの場で話せる訳がない。

何より、課長に聞かれる訳にはいかないんだ。



「池田、それについては悠月は答えないよ。頑なに黙っている」



私が答えないと、代わりに課長が答えた。



「何でですか?」


「さあな。よほどの事情があるんだろう。
だから、弱いとかじゃないんだよ。たかが、この女にバラされたからじゃない」



睨み付けるように彼女を見る。

弱いって思われていたことに驚くけど。

暴露された時に、何も言い返さなかったからだろうか。




< 244 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop