サヨナラの行方
「それじゃあ仕方がないや。いずれは、ちゃんと話してもらうからね」
それには、ちゃんと頷いた。
バレてしまった今、紗希ちゃんにはここを去ってからのこと。
イヤ、不倫時代、その前のこともちゃんと話さないといけない。
何も話さずに去ってしまったのだから。
「ちょっと、待ちなさいよっ。
あなた、そこまでして冬馬さんが欲しい訳?」
だから、どうしてそんな話しになるんだ。
その希望に嘘はないけど、手に入れることが出来ないのは重々承知していることだ。
今更、欲しいと口に出すことはない。
「死んだなんて嘘までついて。そこまで同情して欲しかったの?卑怯とか恥ずかしいとか思わないの?妻がいるのよ?」
「ちょっと、勝手に理由作らないでくれます?」