サヨナラの行方
「ちょっと冬馬さん、庇う方を間違えていませんか?」
「は?あんた、庇ってもらえると思ったの?」
凄い呆れたような表情をして言っている。
私だって、自分が庇ってもらえるとは思わなかったけど、彼女が庇われるとも思っていなかった。
「だって、普通は妻を庇いませんか?」
「離婚するヤツ庇っても仕方ない」
「だから、離婚なんてしませんって」
「何度も言わすなよ。これ以上、続ける訳ない」
だんだん、課長の声に怒りが含まれていく。
離婚って本気なんだ。
この2文字を言っても、反応するのは彼女だけ。
常務も社長も何も言わない。
「見て分かっていると思うけど、全員に承認になってもらう。
俺は、この女と離婚する。好きでもないのに、一緒にはいたくない」