サヨナラの行方
「……和泉くんから聞いたかもしれませんが、そもそも私も偉そうに言える立場ではありません。
あなたがこの近辺で再就職出来なかったのも、こちらの責任です。申し訳ありません」
課長からは何も聞いていませんが。
それに、色々ありすぎて再就職の時のことなんて忘れていた。
あれは、常務が悪い訳じゃないのだろうけど。
「パパまで何してるの?謝るのはこの女の方でしょ?こっちが謝るとか間違っているから」
腕を組んで、さも自分が正しいかのように偉そうに言う。
だけど、それに対して誰も頷きはしなかった。
「不倫したのは、俺が悪い。無理やりしたのは俺だから。それについては謝る。悪かった」
「冬馬さん……?」
課長に謝られるとは思っていなかったみたいで、彼女は戸惑っている。