サヨナラの行方



「だけど、それでようやく気づいたから。好きでもない結婚は幸せになれない。だから、別れる」



語るように言った課長は、真剣そのものだ。

だから、彼女も何も言えなくなっている。



「幸せになれます。私が好きなんだもん」



……言えなくはならなかった。

いつまでも自分勝手と言おうか。



「一方的な想いで幸せになれるとか。めでたいな」



課長も呆れるというよりも……イヤ、呆れているのか。

普通は、片思いじゃなかなか幸せになれないと思う。

ましてや、彼女は嫌われている。

そんなんで幸せになれる訳がない。



「離婚を認めないというなら、調停でも何でもやるけど」


「えっ⁉」



その言葉に反応したのは、常務の方だった。




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