サヨナラの行方



「妻じゃない他の女といるなんて、ありえないからっ」



こちらの会話を聞いて、彼女が怒り出した。


それもそうだよな。

正式に離婚した訳じゃないのに、マズイ気もする。



「不倫だろうが、浮気だろうが、別にいいよ。あんたを妻とは思えないし。俺が誰といようが、あんたには関係ないから」


「関係あるに決まっているじゃないっ。紙の上では、まだ妻ですっ」



とうとう、紙の上での話ししか出来なくなった。

強気で言っていた割りには、課長に負けている。

頭の中では、もうダメだと理解しているのかもしれない。

それでも、認めはしないだろうな。



「紙の上だけな。それって意味ある?早くフリーになって、ちゃんとした幸せを見つけた方がいいと思うけど」


「私は、冬馬さんと幸せになりたいのに……」




< 258 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop