サヨナラの行方
「妻じゃない他の女といるなんて、ありえないからっ」
こちらの会話を聞いて、彼女が怒り出した。
それもそうだよな。
正式に離婚した訳じゃないのに、マズイ気もする。
「不倫だろうが、浮気だろうが、別にいいよ。あんたを妻とは思えないし。俺が誰といようが、あんたには関係ないから」
「関係あるに決まっているじゃないっ。紙の上では、まだ妻ですっ」
とうとう、紙の上での話ししか出来なくなった。
強気で言っていた割りには、課長に負けている。
頭の中では、もうダメだと理解しているのかもしれない。
それでも、認めはしないだろうな。
「紙の上だけな。それって意味ある?早くフリーになって、ちゃんとした幸せを見つけた方がいいと思うけど」
「私は、冬馬さんと幸せになりたいのに……」