サヨナラの行方
3rd*不自由に感じた―和泉課長side―



『和泉くん、少し話しがあるんだがいいかな』



いきなり社長に内線で呼ばれたのは、忙しい日々が一息ついた頃。


社長がこうやって呼ぶこと自体は、珍しいものじゃない。

社長は、威厳はあるけどそれほど厳しい訳じゃない。

茶目っ気もあって、親しみやすい人ではある。

俺はなぜか、主任になった頃から気に入られていた。

そのために、出世が早いとか嫌みを言われたこともある。

これは、俺の実力だってのに。

まぁ、言われたところで痛くも痒くもないけど。

周りを蹴落としてでも上に昇りたいのだから。



「ちょっと、社長室に行ってくるから」



近くにいた子に一言言って、部署を出る。

出る前に横目であの子を見れば、忙しなく動いている。


本当にこの2年で成長したと思う。

入社当時は怒られてばかりで、大丈夫かと心配になったけど、今では1人全てをこなしている。




< 26 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop