サヨナラの行方

少しずつでも成長するもんだなって、しみじみ思った。

だからどうってことはないけど。



「失礼します」



頭の片隅でそんなことを考えながら社長室へ行き、ノックをしてから入った。

そこには、社長だけではなく、なぜか原川常務までもいた。

俺が呼び出された時としては、珍しい組み合わせだ。

一体、何が始まるのだろう。



「おー和泉くん。急に悪いなぁ」



笑顔でそう言うけど、有無を言わせないオーラがある。

威圧感は、かなりあるほうだ。



「一息ついたようですし、お時間は大丈夫ですよね？」



常務は、誰に対しても丁寧に話す。

本性が１番読みにくい人種だと思う。



「時間は大丈夫ですが、様子からにして仕事のことではないようですが」