サヨナラの行方
急に、聞き慣れない声が聞こえた。
声のする方を見れば、見知らぬ男が立っていた。
「悠月、言わないのはダメだと言ったはずだけど」
その男は、悠月を呼び捨てにし、無表情で言い放つ。
少し偉そうに見えるけど、ずいぶん若そうだ。
名指しされた悠月は、驚きで開いた口がふさがっていない。
知り合いらしいけど、関係性が見えない。
何より、意味が分からないのは、その男が抱えているモノだ。
それを抱えて悠月を呼ぶ。
ただの知り合い程度ではない気がする。
コレが悠月の隠していることだろうか。
「アナタが課長さん?」
急に、矛先が俺を向いた。
「そうだけど」