サヨナラの行方



和樹とまこちゃんの気持ちは、痛いほど分かる。

だけど、課長と幸せになることとは別の話しだ。



「俺は、澤村和樹。悠月の実の弟」



和樹が勝手に、自分の素性を話し出してしまった。



「え?弟?悠月に弟いたの?」


「俺も初耳だけど」



紗希ちゃんと課長が驚いている。

それもそのはず。

誰にも話したことはない。

そして、ここにいる同郷の人でさえ知らないことだ。



「だから、彼氏や旦那な訳がない。だいたい、俺は結婚しているし」



ちょっと、そこまで話すの?

誰かまでは言っても仕方のないことだろうけど。

私がずっとお世話になっていたまこちゃんこそが、和樹の奥さんなのだ。




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