サヨナラの行方
常務がそう言ってくれたら、娘だって承知するしかないだろう。
これには安心した。
「先ほど言いました通り、私の娘、亜耶乃です。歳は25。和泉くんとは少し歳が離れていますが、本当によろしいですか?」
25歳ってことは、あの子よりも年下か。
10歳も離れているが、こちらはなんとかなるだろう。
「僕は構いません。逆に、こんなおじさんになりますが、大丈夫ですか?」
「歳は気にしていません。
なので、よろしくお願いします」
こうやって、淡々と俺の結婚は決まった。
愛情なんてモノは関係ない。
欲しいモノを得るためなら、手段は選ばない。
噂は早いもので、すぐに回ってしまう。
社長室で話していたとはいえ、人払いしていた訳でもない。
誰かが外で聞いていたのだろう。