サヨナラの行方
「何でしょう」
大きな声で呼ばれた以上無視することは出来ず、とりあえず彼女のところへ行った。
そしたら、小さなメモ紙を渡された。
「これを、和泉課長に渡して欲しいの」
折り畳んであるため、何が書いてあるのか分からないけど、おおよその検討はつく。
「ご自分で渡さないと意味はないと思いますが」
「他の部署の私なんかが近寄れる雰囲気じゃないんだもん」
「だったら諦めた方が……」
「そんな訳にはいかないよ。だって、理想だもんね。普通にかっこよくて、若いのに課長だし」
目をキラキラさせて言うこの人に、私はこっそりため息を吐く。
見た目と課長という肩書きだけで決めるのか。
そんなんで幸せになれる訳がないのに。