サヨナラの行方
5th*確かな温もり
今になって、こういう関係になるとは思わなかった。
それどころか、不倫なんてモノに自分が足を突っ込むことになるとは思いもしなかった。
彼が結婚したと聞いた時、私の恋も終わりを告げたはずだった。
立ち直るには時間がかかるけど、これから普通の上司と部下でいないといけない。
そう気持ちを新たにして、平然を装って久しぶりに話しかけた。
上司だから、話さないといけないことは毎日あった。
だけど、何かと理由をつけたり、紗希ちゃんにお願いしたりして話さなかった。
これじゃいけないからと話しかけたのに、何でそういうことになるんだ。
私が話しかけたのがいけなかったのか。
イヤ、話しかけてそんなことに発展するなんて思ってもみなかった。
それに、最低な別れ言葉ではあったけど、この人がそこまでするような人だとは思わなかった。
本当に、裏の顔は最低な人だったんだ。