サヨナラの行方



だから、直属の部下である私が頼まれる。

他にも部下はあるはずなのに。

私が1番下だから言いやすいのだろう。



「まぁ、いいや。自分で渡すわ。相手はしてくれるだろうしね」



自信満々に言って去って行く。

こういう人は、相手してくれれば誰でもいいのか。

私より年上でイイ歳さた人が遊ぶってどうなんだろう。

イヤ、遊ぶつもりが深みにはまって本気になって、いつか捨てられるのか。

私みたいに……。


でも私は、遊びなんかじゃなかった。

最初から本気で好きだった。

彼の策略にはまり、彼しかいらないぐらいのめり込んでいた。

……だけど、最後はあっさり捨てられた。

彼が本気になることはなく、結局ずっと遊び相手でしかなかったんだ。



「お疲れ様。また言われたの?」



席に戻るなり、待ち構えていたように紗希ちゃんに声をかけられる。




< 6 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop