サヨナラの行方
……夫婦の邪魔?
もう1度、お嬢様の言葉を頭の中で繰り返す。
それは、不倫をしている私のことだろうか。
もしかして、私と課長がしていることがバレている?
それは、マズイ。
1番バレてはいけない相手だ。
しかも、こんな大勢の前で言うつもりだろうか。
「ねぇ?澤村悠月さん」
お嬢様は、確実に私を捉えてはっきりと名前を呼んだ。
背筋が凍る。
この人は、全てを知っているようだ。
「あなた、どんな神経しているの?常務の娘の旦那さんに手を出すなんて」
「え?」
お嬢様の発言に、部署内がざわつく。
私は、彼女の顔も課長の顔も見れない。
全身が凍りつきそうだ。