サヨナラの行方
「仕方ないわね。原川常務の娘、亜耶乃です。
で、あなたは?」
「池田紗希子です」
「池田さんね。あなたも澤村さん同様に辞めてもらうわよ」
「さっきも言った通り、あなたには何の権限もありませんけど」
「あるわよ。常務の娘だもの。私の一言でどうとでもなるわ」
「ガキですか。
自分の好みで会社を動かすほどの力なんてないくせに。社長じゃないんだから」
「なんですって?社長と同じくらい力があるわよっ」
「言い過ぎです」
2人の言い争いに、急に男の声が加わった。
優しい声ではあるけど、誰よりも声が通る。
そのため、みんなが声の方へ振り返る。
そこには、原川常務と社長が立っていた。
……どこから聞いていたのだろう。