サヨナラの行方
半信半疑になっても紗希ちゃんが気を遣って言ってくれるけど、私は何も言えない。
彼に裏切られた今、もうどうでもいいや。
「悠月?」
「何を言っても信用されないわよね。不倫だって公表されたんだから」
勝ち誇ったように娘が言う。
「不倫という間違ったことをしているような社員は、ここには必要ないです。なので、澤村さんには今日付けで辞めてもらいます」
「え?今日⁉」
私より先に反応したのは、紗希ちゃんだった。
今日付けってことには、私も驚いた。
やることが早いな。
最初から言い訳も聞かないということか。
「すぐに、身の回りを片付けて出ていってください」
「ちょっと、今すぐですか?悠月が受け持っている仕事もあるんですよ?それはどうするんですか?」