サヨナラの行方



「他の人が出来ない仕事ではないでしょう。すぐに割り振ってください」


「そんな無茶言わないでください。みんな、自分の仕事を抱えているんですよ?」


「紗希ちゃん、いいって」



これ以上続けると、紗希ちゃんの立場が悪くなりそうで止めた。

ここまでされてしまっては、私はもうここにいられない。

仕事で迷惑はかけてしまうけど、何も言わずここから立ち去りたい。

当の本人は、一言も話さず、私の味方をしてくれる訳ではないから。



「悠月、でもっ……」


「いいよ。こうなってしまった以上、言い訳はしないから」



必死で引き留めようとしている紗希ちゃんには悪いけど、もうここにはいたくない。

留まったところで、陰口を言われるのだから。




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